◇ ◆ G  R  C ◆ ◇

(3.1) GRCとは
 1.GRCとは

1-1 名称
 GRCは Glass-fibre Rainforced Cemente の頭文字をとった略称ですが、日本語でも一般名称になっています。
 「fibre」とありますがこれは英国流で、米国流では「fiber」となります。GRCが英国発祥の技術なのでreの資料は多く、混在しています。また、CはCementeを使用していますが、英文資料ではConcreteが多く使われています。
 日本語では「耐アルカリ性ガラス繊維補強セメント」になります。日本では粗骨材を含まないのでConcreteコンクリートとはせず、Cementeセメントとしています。<正確にはモルタルですが、Cにならないので>
 Glass-fibreは漢字の「硝子」ではなくカタカナの「ガラス」としています。
 Rainforcedは「補強」としていますが、官庁での材料分類上は「混入」になる場合があります。
1-2 定義・範囲
 言葉を広く捉えれば、マトリックス質のCementeセメント系材料で構成されるモルタルに、繊維質のGlass-fibreガラス繊維を少しでも入れたものはGRCと言えます。
 まず繊維質のガラス繊維は、断熱材等で使用されているガラス繊維(Eガラス)成分ではなく、ジルコニア(ZrO2)を多量に含んだ耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス;alkali resistance)成分でなければなりません。Eガラス成分ではセメント系材料のアルカリ性に浸食されて、時間とともに補強効果が減少していきます。
 次に、マトリックス質は粗骨材を含まないモルタルなので、コンクリートに耐アルカリ性ガラス繊維を入れてもGRCではありません。
 Rainforcedは補強と訳されるので、少しでもでセメント系材料に改良効果があれば補強になるといえます。しかし本質論でいえば、セメント系材料とガラス繊維を混合して「複合材料」つまり新しい性質を有する材料にすることが本筋と考えます。単に補強ではなく、新しい材料となって用途を広げていくことと考えます。
 つまり、コンクリートは鉄筋補強コンクリート「RC」として使用されますが、これはそれぞれの性能を「組合せた材料」であって、コンクリートが変質するわけではありません。これに対してGRCは、「それ自体で曲げ強度を負担する」という新しい性質をもった複合材料ななります。
 なお、複合材料ではなくマトリックス質の性能を改良するために、ガラス繊維を混入するものがあります。いわゆる「ひび割れ防止」のためにモルタルに繊維質を混入するもので、耐アルカリ性ガラス繊維であればGRCの範囲に含めます。
1-3 繊維質
 耐アルカリ性ガラス繊維とは、ジルコニア(ZrO2)を16%以上含有したものと規定されています。最初に開発したPB社(Pilkington Brothers Limited.)の特許範囲であり、これ以下のものも見受けられますが耐久性に影響が出てきます。
 その後多くの会社が独自に開発を行ったたが、現在はPB社の流れのオーエンス・コーニング社(生産工場は中国)と、日本の日本電気硝子社(滋賀県能登川事業所)の2社が供給を行っています。
1-4 マトリックス質
 セメントは一般的には普通ポルトランドセメント(以下OPC)が使用されています。特殊なものでは、アルミナセメントがプレス製法用で研究されました。
1-5 調合・物性
 GRC用のモルタル調合はかなり富調合である。左官用モルタルがセメント砂比(C/S)1/3が標準であるのに対し、GRC用モルタルは(C/S)2/1(~1/1)である。さらに、ポンプ圧送や狭い空間に流し込みのためかなり流動性を高くしなければならない。したがって、乾燥収縮率もかなり大きく日本のような乾湿の変動が大きい気候地域では、実用時環境の影響で内部応力が生じやすいことがある。乾燥収縮率を下げる方法として、① OPCセメント量を減らし、混和剤を使用して水セメント比を下げる。② 膨張系の特殊セメントを使用する、がある。②の特殊セメントは太平洋セメント社から「GRCセメント」の商品名で販売されている。このGRCセメントは成分のみならず粒径が重要で、その品質保持のために今では旧式となって日本で唯一残っている、秩父太平洋セメント社の湿式キルンで生産されています。

 型枠に吹付け又は流し込んで製造し、建築物の各部位や造形物に使用されています。
 リンク集
 日本GRC工業会
GRC業界団体のホームページです。
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